天使のメガネ



両親には、巧みなパントマイムに写っているのだろう。


相変わらず二人はそれを見て笑っていた。


「みなみ!凄いな!いつの間にそんな芸を覚えたんだい?」

父親は私に喝采を送る。

アルスを私の隣に座らせて、
おもむろにメガネを外し、父親に掛けさせた。


「ん?このメガネを掛ければ良いのかい?」


私に促されるまま、メガネを掛けた父親は絶句した。


黙ってそのメガネを母親に渡す。


「え?お父さん、どうしたの?」


母親もメガネを掛けて、私の方を見た。


「えっ!?ええっ!?」

母親は二度見した。


明らかにアルスを二度見した。


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