天使のメガネ



一通り、私の持てる言語力を尽くして
呆気に取られた両親に、順を追って説明する。


それは端から聞いていたら、
キテレツな話だっただろう。


一つ話終わる度に眼鏡で確認する。

「く、老眼だからよく見えん!」


父親は、
実在するのに実体の無い、初めて家に連れてきた娘の彼氏を
複雑な想いで見ていたに違いない。


エピソードが、昼間の蕎麦屋に及んだとき、
折しもお寺の鐘が鳴った。

寺の鐘は新年を告げる合図である。



ゴーン……。



異様な雰囲気で、年が明けた。


「よし!皆で初詣に行こう!」


父親は、
ふと、提案をした。

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