天使のメガネ



父親は逃避を試みたのだ。

全てを一回無かったことにしようと。


母親も初詣に賛成した。

賛成するも何も、毎年家族で行っているじゃないか。

私は、心の中で呟いた。


アルスも勿論行く。


「もしかしたら、その天使とか言う幽霊も、居なくなるかもしれないしな」

すっかり、天使から憑依霊と降格になったアルスは、
私に聞こえるように言った。


「ちょっと、失礼じゃない君の両親」


なだめて、初詣に向かう準備を始める。



父親はソワソワしながら落ち着かない様子だ。


ズボンを履き忘れながら靴を履く始末。


「ち、ちょっとお父さん!」

私は父親に注意する。


「お、お父さんがズボンを履かない事より、その外国人が、も、問題だぞ!」


声がひっくり返っていた。


まったく、意味が解らない。

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