天使のメガネ
考えても仕方ない。
家族三人と憑依霊一人は、毎年恒例の初詣へ向かった。
近所の神社は普段の閑散とした様相を一新し、
新年の参拝者の為に、綺麗に装いを変えていた。
出店が立ち並び、晴れ着を着た華やかな女性と、人々の挨拶とでごった返していた。
アルスは一々出店で立ち止まり、キラキラした目を私に向けた。
これはなんなのか、あれは美味しいのか、興味を持つものに貪欲に質問を浴びせてくる。
私は、その度にアルスをなだめ、
出店のおじさん達に不審な目を向けられる。
父親と母親は、後ろの私達が気になるらしく、
私が一言発する度に振り返る。
やめて、そんな心配そうに見ないで……。