天使のメガネ



「なんだよ〜みなみ!家に帰ってからはメガネしろよな」


ずいぶんな言い方だ。


「ねえ、アルス。因みに私がメガネを掛けていない時はどうしてるの?」

「え?いるよ。ここに」

「いるの!?私の部屋に!?」


「うん。みなみがメガネを置いてある場所から移動できないから」


「そ、そうなの?お腹は減らないの?」


「う〜ん……。天界に戻るからね、ご飯の時は」

「天界!?天界には移動できるの!?」


「天使だからね、一応。天界にいる時間は限られてるけど」


「限られてるって、どれくらい?」


「3時間」


「え?つまり、21時間はこの部屋に居るんだね?」


「そうだよ。相手にしてくれないとオレが寂しいんだよ」



不思議だ……。


私はもう、ずいぶん前からこの天使を知っているような
妙な感覚に陥っていた。

気持ちの整理と、気持ちの切り換えが
思考に追い付かない。
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