バンテスト魔法書の保持者
自然と周りに人がこない。


そして、マイルさんの目が私に向いた。


「リオウ君はともかく、君まで入学するとは思わなかった。あの学園は、まぐれで合格した人が入学していいほど甘くはないよ?」


「まぐれ?なるほど。マイルさんは、世界が注目するハンラルト学園の入試、『まぐれでも合格出来るほど簡単』と仰いたいわけですか」


私の切り返しに、マイルさんは驚いた表情をした。


そして、さっきの意地悪な顔から一変してリオウに向ける時と同じくらい柔らかい微笑みを浮かべた。


「え、?」


私は、思わず目が点になる。


「いや、君なら大丈夫かと思って」


そういってマイルさんは私の頭に手を乗せた。


「君は、ある意味特別入学するようなものだからね。そういう子は、イジメとかにあいやすいんだよ。でも、君はそういうのは跳ね返しそうだ」


マイルさんの瞳には、少しの安心と心配のいろがみえる。


優しい人なんだろうな。


「さて、お話しはここまで。これから、ハンラルト学園に案内するよ」


マイルさんは、魔法を展開した。


「精霊よ、我の望む場所へ‥‥‥転移、ハンラルト学園」


マイルさんの足下に魔法陣が現れて、私とリオウはそれに乗る。


そして、視界が歪み一瞬ブレが起きた。


この時ハンラルト学園でどんな事があるのか、
私は少しワクワクしていた。


*********************


目の前の景色は、もうさっきの広場じゃない。


朝早くから活気のある賑やかな街。


行き交う人達の表情は、皆生き生きしている。


「ここがハンラルト国だよ」


「賑やかだな」


「(コクリ)」


マイルさんは、あんな遠距離の転移を使っても穏やかな笑顔をしている。


この人もすごい。


あ、そういえば‥‥‥


「マイルさん、学園の先生?」
< 13 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop