バンテスト魔法書の保持者
レイトの行動や言葉を聞いて思うこと。


レイトはシスコンだ。


憧れか何かは知らないが、シスコンであることに間違いはないだろう。


「努力は誰でもしてる。それは貴族だろうと平民であろうと、それこそ王族だろうと変わらないと思うが?」


「俺達は国を、民の命を背負っているんだ。その重さは貴族も平民もわからない」


「ではレイト、お前は生き抜く努力は知っているのか?」


「なんだと?」


「畑を作り、作物を育てる。それがどれだけ難しいことかお前に分かるのか?」


「そんなことと俺達の苦労は桁違いだ」


「そんなことと?お前は、その民が作った食材で食事をしているだろう。

この世の中、食べ物もなく飢え死にする者も少なくはない。だがしかし、お前は飢えという概念を知らない」


「何が言いたい?」


「お前は裕福な暮らしをする。その代償に民の命を背負っているにすぎない」


こんなに語ったのは久しぶりだ。


レイトは顔を歪めて俺を見ている。


レイトが苦労していないとは言わない。


しかし、レイトを助ける義理もない。


それどころか‥‥‥‥


「レイト、グランプリに優勝したところでバンテストが見つからなけば意味はないと思うが」


「バンテストは見つかる。誰も見つけられないなら俺が見つける」


「‥‥‥‥そうか」


俺が見つける、か。


レイトがバンテストを見つけた時、俺は躊躇なくレイトを殺すだろう。


レイト1人なら、すぐに息の根を止められる。


「お前は何故、出たくないんだ?功績を残せば良いことは多いぞ」


「ほぅ。例えば?」


「国の役職につけることもある。いろいろなことろからスカウトがくるぞ」
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