バンテスト魔法書の保持者
レイトが言うこと。


それは、確かに魅力的だろう。


職が安定すれば、お金に困ることもなくなる。


「お前は戦闘技術も頭も良い。だから‥‥‥」


「グランプリに出るなら自分でチームを組む」


「リオウ!」


「第一、王族や貴族は好きではない。特にハンラルトの王族は」


「なんだと?」


俺の言葉に反応したレイト。


こいつも所詮は王族だな。


「ハンラルトの王族が嫌い?」


「そうだ。この南大陸で、俺はハンラルトが一番嫌いだ」


鋭く目を細め、レイトを睨む。


今まで抑えていた殺気を解放する。


俺は俺のためにしか動かない。


ハンラルトの、ましてやイナリシア王女のためなど考えるだけでも反吐が出る。


「戦争は今は硬直状態。お互い動かぬまま、手も足も出さない」


「だが、いつまた始めるかもわからない」


「ああ。だが、軍事力的にも南側のこちらが有利だ。人質も取ってあるのだろう?相手も下手に手は出せない」


北側の詳しい事情は知らないが、知っていることもある。


それに俺の耳に入った情報なら、人質はかなり使えるらしい。


それほど高貴な家柄か、それとも‥‥‥


「リオウ、なんでそこまで拒むんだ?」


「そちらこそ、なぜ俺にこだわる?」


「お前が一番適任だからだ」


この学園に来てからレイトと出会って、思うことがあった。


レイトは残念だということ。


授業の様子を見ていたらわかる。
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