バンテスト魔法書の保持者
ルシータが微笑みながら言った。


リオウの表情は相変わらず無表情。


でも、ルシータはルナイトの妹だし、別に警戒はしてない‥‥‥と思う。


私と一緒にいるから、ちょくちょく会ってもいるし。


「あ、あの、リオウ、様?」


「ルシータ」


「は、はい」


「様付けというのは止めてくれ。同い年であるし、俺は一般庶民だ」


「あ、そう、ですね。わかりました、リオウさん」


「ああ」


戸惑いながら返事をしたルシータ。


それからルシータは、辺りをチラリと見る。


理由はそう、視線。


周りの女子生徒が、ルシータを睨んでいた。


「ラ、ランナさん、私はどうすれば?」


「わ、私に振らないでよ」


本当に困っているルシータ。


やっぱり視線って気になるよなぁ。


「リオウ」


「なんだ?」


「ランナのこと、まだ知らない?」


「え、私?」


リオウがランナに目線を移す。


一瞥してから私に向き直った。


「お前の友達か?」


「ん。それでルームメイト。和国の出身」


「和国?」


リオウの目つきが、いい意味で変わった。


どこかイキイキとした目でランナを見る。


「え、何?リューラ、どういうこと?」


「リオウ、からくり、好き。興味ある」


からくりの知識なら、リオウは私より断然上。
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