バンテスト魔法書の保持者
私も興味あるけど、リオウには適わない。


「からくり?」


「(コクリ)ランナ、知ってる?」


「知ってるも何も、私の国ではそこら中にあるけど‥‥‥」


「そこら中に、か」


「え?え、ええ」


リオウが何かを考えだした。


その考える姿は美しく、それだけで周りの目線が集まる。


まぁ、うん、とりあえず逃げたい。


このままじゃ始まる。


「和国出身、か。羨ましいな」


「そう?」


「ああ。木造建築の屋敷、刀という剣、着物という衣服。魔法を使わずに布を織るという機織り。一番素晴らしいのは木彫りという彫刻だ。
滑らかで木でしか表現できない‥‥‥」


「リオウ、ストップ」


始まりかけたリオウの弾丸トーク。


それをとりあえず止める。


リオウが止まらなくなるところだった‥‥‥


ルシータとランナは、ポカンとリオウを見ている。


その目線に対して、リオウは目をそらした。


「ね、リオウ、面白いでしょ?」


「‥‥‥‥プッ、アッハハ!」


私がそう言うと、ランナはお腹を抱えて笑いだした。


目に涙まで溜めている。


「ククッ、あ~、リオウさん?ありがとう。和国をそんなふうに言ってくれる人は初めてよ」


「呼びたいように呼んでくれてかまわない」


「そう?あ、私もランナでいいわよ?本当にありがとね、リオウ」


「いや、これは個人的な感想だ。俺は和国に生まれたランナを羨ましく思う」


「本当に嬉しいわ。和国って閉鎖的だし、魔法を使わないのは可笑しいって言われることがほとんどなのよ。木彫りも、金とか宝石とかに比べて見劣りするからね」


「そうか?あの自然をそのまま使った感じがいいと思うのだが‥‥‥色を塗ったりもするようだが、俺はそのままが好きだな」


「同意見よ」
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