バンテスト魔法書の保持者
リューラは何も言わずに目線は下げていた。


「とりあえず、やってみろ」


「オーガ先生‥‥‥」


「レイト、これは命令だ」


リューラに目をもう1度向ける。


目を伏せているだけで、目を合わせようともしない。


しかし、俺にはその表情は少しだけ戸惑っているように見えた。


「スゥ‥‥‥‥」


少し深呼吸し、リューラに向かって手をかざした。


リューラに意識を集中して魔力を送る。





         バチッ





そんな音が聞こえると、俺はかざしていた手を引っ込めた。


手の平を見ると、少し火傷をしている。


驚いてリューラを見る。


リューラは気まずそうに、顔を逸らしていた。


拒否‥‥‥された?


魔力を送るのを拒否されたのか?


「リューラ?」


名前を呼ぶと、少しだけ俺を見る。


「ぁ‥‥‥ぅ‥‥‥ごめん、なさい」


だがすぐに目をそらし、小さな声でそう謝罪した。


周りの者達は、何が起こったのかまだ理解していないようだった。


どこか居心地が悪そうなリューラ。


その目には、反省の色が見えている。


だから俺は、リューラの頭に手を乗せた。


「っ‥‥‥‥?」


「すまなかった」


「ぁ‥‥‥‥」
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