バンテスト魔法書の保持者
リューラは無表情で、ジッと俺を見た。


「なんだ?」


「ぁ、ぇ‥‥‥‥」


「?」


「‥‥‥‥」


小さく声を漏らし、何か言いおうとしている。


だが、目線が動いているだけで表情は相変わらず読めない。


何を考えているかがわからないな‥‥‥


「ちょっと!」


しばらく見つめ合っていると声がした。


そっちを見ると、リルがこちらにやってきていた。


俺は乗せていた手を下ろす。


リルはリューラと俺の間に入り、強くリューラを睨みつける。


「あなた、レイト様の申し出を断っただけでなく、あまつさえ拒否したのよ。立場、わかっていて?」


「‥‥‥‥」


「レイト様に気は使わせるし、あなた本当に何様なの?同じ立場にあると、立っていると思っていらしているの?」


「リル、リューラは別に‥‥‥」


俺が発言しかけると、リルが俺の方を向く。


その顔は少し歪んでいるように見えた。


「レイト様、気を使う必要はありませんのよ。
私に任していてください」


「いや、お前の力は必要ない」


「いいえ。レイト様はお優しすぎるのです。ここは私がしっかりと教育します」


リルがそう言った瞬間、リューラの表情が動いた気がした。


気のせいか?


それにしても、リルの言葉‥‥‥‥


呆れて溜め息が出そうなのを我慢する。


俺の言葉も聞く気がないようだ。


「あなた、レイト様をなんだと思っているの?
ちゃんと答えてくださらない?」
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