バンテスト魔法書の保持者
俺の言葉を聞くなり、リルは顔を青くした。


その次に、リューラを強く睨みつける。


ハァ、ここまでくると面倒だ。


まだ俺の言葉が分かっていないのか?


だが、リルはアルテ家の長女。


なるべく穏便に済ませたい。


「~~~~っ、レイト様はお優しいすぎるのです!」


「‥‥‥‥あ?」


おっと、言葉が崩れた。


汚い言葉は使わないように教育されてるはずなんだが‥‥‥‥


「なぜ、このような愚民を庇うのです!」


「(ピクリ)」


一瞬、本当に一瞬、リューラの表情が動いたような気がした。


そしてなぜか背筋に冷や汗が流れる。


「こんな‥‥‥育ちも大したことのない愚民ですよ!?」


「リル、少し落ち着‥‥‥‥」


オーガ先生が思わず口を挟む。


だが、リルには聞こえていないようだ。


「私が間違っているというのですか!?」


さっきから見下した発言。


少し、気に障るな。





「落ち着けと言っているのが聞こえないのか?
リル・アルテ」





威圧を乗せた声を発する。


リルは肩を揺らして、俺を見直す。


「少しは頭を冷やしたらどうだ?」


「あ、なぜ、なんで‥‥‥‥」


少し涙目になったリル。


本当に面倒だ。
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