バンテスト魔法書の保持者
「うるさい」
不意に、そうリューラは言った。
決して大きな声ではなかったが、その声はよく通り響いた。
いつもの無表情だが、声からわかったことがある。
リューラは今、不機嫌だ。
「まぐれでも、偶然でも、合格した。お前ら、
うるさい。ウザイ。めんどくさい」
「はぁ!?」
いち早く不満の声を出した生徒。
その生徒を、リューラは無言で睨んだ。
言いようのない威圧感が、向けられていない俺にまで伝わってくる。
「‥‥‥‥いいわ。そこまで言うなら、実力を示しなさい」
「?」
リルは学生証を取り出し、リューラに向ける。
‥‥‥‥‥っまずい!
「Sクラス・第11位 リル・アルテ。今ここで、あなたに決闘(デュエル)を申し込みます!」
決闘(デュエル)
2人の生徒が、自主的にフィールドを展開して決闘すること。
決闘内容は挑んだ方があらかじめ決め、受けるか受けないかは自由。
学生証には、その結界を展開する魔法陣があらかじめ組み込まれている。
「決闘内容は魔術装備ありの戦闘」
リルがそう言った瞬間、周りがざわめく。
アルテ家時期後継者の実力が分かるかもしれない。
俺はリューラに目を移した。
無表情でリルをジッと見ている。
「オーガ!これはどういうことだ!?」
「レイカ‥‥‥」