バンテスト魔法書の保持者
シーン‥‥‥と教室が静まりかえる。


唖然。


その言葉がピッタリ似合うほど、クラスの全員が驚いていた。


その視線の先にはオシレット先輩。


それに気づいているかいないのか(多分気づいている)、オシレット先輩は気にせずに呑気に私の頭を撫でてきた。


「よく言えたね〜いらいね〜」


なんて言いながら。


表情は満面の笑みである。


「よしよ〜し」


「(イラッ)」


この人はとことん、私の神経を逆撫でするのが上手いらしい。


それも絶対にわざと。


頭に乗っている手を落とし、今度は私からオシレットに触れる。


「?」


なるべく優しく触れるように、さらりと髪を撫でて頬に手を添える。


「えっ、ちょ、」


私の唐突の行動。


予想外であったらしく、本心から戸惑ってくれているオシレット先輩。


少し気をよくした私は‥‥‥


「イッタ!?」


頬に添えていた手で、ギュッと思いっきりオシレット先輩の頬をつねった。


突然のことで、戸惑ったオシレット先輩は素早く私の手を払う。


パシッと乾いた音が響いた。


「イッテテテ‥‥‥あ、子猫ちゃんごめん!」


払われた手が、少しヒリヒリとする。


もう一方の手で自分の手を撫でた。


ちょっと‥‥‥痛かった。


でも、あのオシレット先輩の戸惑った声と驚いた表情‥‥‥‥


少し、満足したかな。
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