バンテスト魔法書の保持者
俺の前の席に座り、溜め息をつく。


セスは貴族という感じがしない。


価値観も似ているし、下級貴族といっても、ほとんど平民と同じような暮らしをしているらしい。


「ちょっと、そんな考え方しないでよ。Sクラスのレベルが低くみられるわ」


「ああ?」


ピシッと空気がはりつめた。


またか‥‥‥


セスとラメルは合わない。


犬猿の中というほど、出会えば必ずといっていいほど討論になる。


まぁラメルが一方的に突っかかっているようにも見えるが‥‥‥


「そんなちっせぇことで下がるか。ここには我らが王族様もたくさんいるんだし」


「下級貴族の分際でタメで話さないでくれる?
私は王族よ」


「(ピクッ)下級貴族の分際ねぇ‥‥‥」


また始まった‥‥‥


ラメルはプライドが高いが、基本的には純粋だ
‥‥‥と思う。


自分より優れていると認めると、しっかりと敬意を払うとレイトやライドから聞いている。


なぜか俺にもなついている‥‥‥


だが、どうもセスは気にくわないらしい。


何があったか詳しくは知らないが、何か合ったらしい。


聞けば、セスがラメルを侮辱したとか。


まぁそんなわけで仲が悪い。


「王族だからと調子に乗らないでくれねぇか?
王様候補とはいえ、あんたは国民から指示が高いわけじゃねえだろ?」


「フンッ、私は聖剣に選ばれた王女なのよ。国民から指示が低いのは、表立って大きく行動しなかったから。事情があるのよ」


バチバチと火花を散らして睨み合う2人。


はぁ‥‥‥めんどうだな。
< 279 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop