バンテスト魔法書の保持者
討論するならどこかに行ってほしい。


第一、セスとラメルの席は俺から遠いはずだ。


「‥‥‥っと、そうじゃなかった」


「?」


「リオウ、あの、オシレット先輩と試合した生徒。知り合いだろ?」


「そうだが」


俺がそう言うと、セスはキラキラと目線を輝かした。


めんどうなことを頼まれそうだな‥‥‥


「紹介してくれ!」


「はぁ!?」


ラメルが声をあげて驚いた。


「リューラをか?」


「ああ!」


元気よく返事をするセス。


少し驚いた。


なぜなら、あの試合を見て、リューラに恐怖心を持つ生徒がほとんどだからだ。


あれほどの殺気が立ち込める試合だし、恐怖心をもつのはごく自然なのだが‥‥‥


やはりセスはどこか変わっている。


「俺、あの試合見て感動したんだ。使い魔とのコンビネーションもよかったし、極めつけの最高の質を誇る魔法!」


「‥‥‥」


なにか、語りだしだ。


「特に最後の魔法は素晴らしかった。それも同じ1年って聞くだろ?話さなきゃ俺は後悔すると確信してるんだ。それに‥‥‥」


「わかった。わかったから少し落ち着け」


「え、あ、ああ、すまねえ」


セスなら紹介しても大丈夫か‥‥‥


リューラは人付き合いが好きなほうではない。


だが‥‥‥


「わかった。近いうちにでも紹介しよう」


「ありがとよ!」


今のリューラなら、大丈夫だろう。





*********************


< 280 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop