バンテスト魔法書の保持者
やって来る鉄の人達は皆敵。


見つけたら構わずに斬り殺した。


叫ぶ声が鬱陶しい。


出てくる赤いモノが嫌い。


鉄の鎧に堀られている紋章。


2つのクロスされた剣に、1つの十字架。


更にドラゴンの姿。


この紋章は‥‥‥何だろう?


「いたぞ!捕らえろ!」


「!」


紋章に触れようとした途端、多くの足音と声が聞こえた。


私はまた走り出した。


森の出口に近づくにつれ、多くの人の気配がする。


森の外‥‥‥


私はまだ出たことがない、未知の世界。


不安が心の中に積もっていく。


それでも、走らなければいけないのだ。


外に行かないといけない。


もう、私の世界は壊されたしまったのだから。


「くっ、」


追いかけてくる人の数が多くなってきた。


外に出て、助けを‥‥‥


「ハッ、」


出口が見えてきた。


木々のない世界。


早く、助けを‥‥‥


「え‥‥‥」


目の前には、森の中とは比較にならないほどの人達。


鉄の鎧を纏った人達が、ずっと綺麗に整列して森を囲うように並んでいる。
< 321 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop