バンテスト魔法書の保持者
立ち位置
キーンコーンカーンコーン
「ん、ぅぅ‥‥‥」
学園のチャイムが耳に入り、私は目を開ける。
自分の記憶を巡っていたせいか、頭が痛い。
‥‥‥!?
「っ、オシレット先輩」
ふと、自分がオシレット先輩に抱き締められていることに気づいた。
え、なんで‥‥‥!?
魔法使う前は手を繋いでただけだった、はず。
「ん、んん?」
「はな、して‥‥‥!」
軽くパニックになって、思わずオシレット先輩の腕の中でもがく。
なんかこの体勢‥‥‥イヤ‥‥‥!
「起きて、オシレット先輩」
「ん〜?リューラ?」
オシレット先輩の瞳がゆるゆると開く。
まだ少し寝ぼけているのか、焦点がはっきりしていない。
「オシレ‥‥‥」
「ん〜おはよ〜リューラ」
フワッと、寝ぼけた顔でとろけるような笑みを私に向けてきた。
顔の体温が一気に上がった気がした。
「〜〜〜〜っ、起きろ、バカ‥‥‥!」
「えっ!?」
なんだか気恥ずかしくて、何時もより大きい声で抗議する。
リ、リオウ以外にこんなことされたことない、
から、なんか‥‥‥ムリ!
だけど、オシレット先輩が腕の力を緩める様子はない。
睨み上げるように視線を合わせると、オシレット先輩のそれはそれは楽しそうな表情が。
「子猫ちゃ〜ん、顔真っ赤だよ?」
「‥‥‥‥」