バンテスト魔法書の保持者
(このベールは‥‥‥私を隠している?)


その魔法は、対象者を光のベールに包み存在を感知されないようにするものだ。


あたふたしているルシータ。


だが、リオウはそれを気にせずにリューラに優しく声をかけた。


「リューラ、俺がわかるか?」


「はな、せ」


「リューラ」


リオウはリューラの顔を包み、自分の顔を無理やり見せつけた。


「あ、リ、オウ?」


その瞬間、張り詰めてきた空気はなくなる。


「そうだ、俺だ」


「リオウ?私、どうなって‥‥‥‥?」


「少しパニックになったんだろう。大丈夫だ」


優しくリューラの頭を撫でるリオウ。


そして、リューラはリオウの腕の中で眠った。


ルシータは、その姿を呆然と見ていた。


(この2人は知り合い?だけど、リューラさんはそんな事、寮では言ってなかった)


考えていると、パチンと音が響いた。


リオウが指を鳴らしたのだ。


ルシータを包んでいたベールが、音もなく消えた。


(リオウ様の実力は、学生レベルじゃ‥‥)


「今起こった事は誰にも言うな」


リオウは、リューラを横抱きにして立った。


ルシータの方に顔は向けていないが、それでも威圧感がルシータを襲った。


「あ、でも、」


「詮索もするな」


「それじゃあ、納得いきま‥‥‥」


「お前のために言ってるんだ」


「え?」


「リューラの事を知れば、お前は後悔する」


リオウは釘をさすようにそれいうと、リューラを連れて去っていった。




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