バンテスト魔法書の保持者
よくもまぁ怪我をした足で‥‥‥


「ユカナ先輩?何か?」


やってきたフィナード先輩に、レイトは驚いているようだった。


リューラを見れば、無表情。


だけど俺には、不機嫌さ丸出しに見える。


「あの、よろしけば一緒にお食事を‥‥‥」


恥じらいの表情を浮かべる、無垢な少女。

          ・・・
ユカナ先輩は、それを演じている。


そんな彼女が、リューラは気に入らないのだろう。


「ああ、はい。いいですよ」


そう返事をしたレイト。


この流れじゃあ、俺も一緒にいくはめになる。


だけど、フィナード先輩はSクラスの先輩だ。


断ることも出来ないな。


‥‥‥‥‥そうだな。


「リューラ、お前もどうだ?」


「嫌」


俺の考えはお見通しのようで、すぐに即答したリューラ。


だけど、俺だって必死だった。


昨日から王族や貴族共の相手をしているのに、
今日も何てごめんだ。


この際、リューラも巻き込むことにする。


「お金、ない」


「俺はSクラスだ。俺が払う」


「夕食、自分で作る」


「遠慮するな」


「遠慮じゃない」


逃げようとするリューラの腕を逃げられないようにしっかりと掴む。


そんな俺に、リューラは顔を歪めていた。


「リオウ、無理やりはよくないぞ」


「リオウ君、リューラさん嫌がってるよ?」
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