バンテスト魔法書の保持者

いつもどおりの朝をむかえ、いつもどおり授業を受ける。


今日は魔術装備を精製する特別な授業だ。


「お前ら、習ったとおりにするんだぞ」


授業はやはりSクラスの男女共に合同。


だけど、今回はFクラスの生徒もレイカ先生とオーガ先生の話に耳を傾けている。


それぞれがそれぞれのペースで精製していいと先生は言った。


だが、制限されていないこともあり、生徒達はキョロキョロと辺りを見回す。


「リューラさん、一緒にやりません?」


ルシータが私に声をかけてきた。


後ろにはランナとルリもいる。


断る理由も無いので、私はOKを出した。


「(コクリ)」


「決まりね。じゃあ、誰からやる?」


「じゃあ、私からやってもいいですか?」


名乗り出してきたのはルシータだった。


そういえば、今日のルシータはやけに張り切ってたような気がする。


というか、テンションが高かった。


それほど楽しみだったんだんだろう。


ルシータは地面に魔法陣を描き、配布されたアーメント石を持って呪文を唱えた。


「我が名はルシータ。魔石よ、我の刃となり盾となる器をここに‥‥‥」


ルシータがアーメント石に魔力を込めた。


魔法陣とアーメント石が輝き、アーメント石はみるみるうちに形を変えていく。


周りの目線がルシータに集まった。


輝きが消えた頃には、ルシータの手には花や草木で出来た弓が収まっていた。


「これが、私の魔術装備‥‥‥」


驚きや喜びの混ざった声がルシータの口からこぼれ落ちた。


ルシータの魔術装備を見た瞬間、あちこちから光が上がった。


みんなが一斉に精製に取りかかったから。
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