バンテスト魔法書の保持者
ルシータはというと、自分の弓の名前を考えている。


魔術装備は名を与えて初めて持ち主のものとなる。


「ルシータは弓か。じゃあ、次は私ね!」


そう言うと、ランナが魔法陣を描いて呪文を唱える。


そうして出来たのは、普通の2倍はあるだろう扇子だった。


「それ、扇子?」


実物は初めてで、思わずランナに聞いた。


ランナは戸惑いつつも、肯定の返事をくれた。


あの扇子‥‥‥まるでモノを斬ることが出来るみたいな構造になってる。


ランナのように、普通とは違った魔術装備は未知でどんな能力を備えてるかわからない。


かなりレアなモノを出したということ。


それをどう扱えるかは本人しだい。


「じゃ、じゃあ、次、私でもいい?」


ルリが私に目線を送ってきた。


私が首を縦に振るのを確認すると、ルリも精製に取りかかった。


そして、出てきたのは‥‥‥‥杖だ。


先端に大きな水晶のある杖。


サイズはルリにピッタリだった。


「え、杖もあるんだ」


ルリは出てきた魔術装備に驚いているよう。


アーメント石精製で杖を出すものは少ない。


それよりも、魔術装備の精製で杖が出ることじたいが珍しい。


さて、私もそろそろやらないと。


周りを見れば、ほとんどが終わっているようでお互いの魔術装備を見せ合っている。


地面に魔法陣を描き、呪文を唱えた。


「我が名はリューラ。魔石よ、我の刃となり盾となる器をここに‥‥‥」


自分の周りが光に包まれる。


目を閉じ、自身の魔術装備となるアーメント石に魔力を流し続けた。
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