バンテスト魔法書の保持者
あまりにも一瞬のことだった。


だが、その一瞬で生徒達を困惑させるのはじゅうぶん。


ざわざわし、腰を抜かしている者もいる。


「リューラ、大丈夫か?」


「ん」


手をさしのべてくれるリオウの手を取る。


あのスライム、操作系の魔法?


ルシータが狙われたから、狙いはルシータ?


いや、2つ共考えにくい。


殺気とか感じなかったし、生物の可能性も低いか。


それにしても、なぜここの生徒が?


それに、学園のシステムも反応してなかったようだし‥‥‥


「リューラ、ルシータ、大丈夫なの!?」


「リューラちゃん!ルシータちゃん!」


ランナとルリが駆け寄ってくる。


私が魔法を使ったとき、ルリは固まって動けていなかった。


ランナは動かなかった。


動けなかったんじゃない、動かなかった。


ジッと何かを観察しているようだった。


私?スライム?


それとも、犯人を探していた?


‥‥‥‥チッ、わからない。


「リューラ」


頭を悩ませていると、厳しい顔したオーガ先生がやってくる。


これはまた呼び出しパターンか。


「一緒にこい」


オーガ先生の言葉に、私は無言で頷いた。


いい方向性なら、事情を聞くだけ。


悪い方向性なら、私を疑っている。


‥‥‥‥後者の可能性が8割か。


そんなことを考えながら、私はオーガ先生に着いていった。




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