バンテスト魔法書の保持者
物心ついた時から妙に敏感だった。


私は目が見えなくても魔力の流れで誰かが分かるときがあるくらい。


普通そういう風になるには、経験と訓練が必要なんだそう。


「私、スライム操ってた?」


まわりくどいのも面倒なので、単刀直入に聞いてみた。


だけど、オーガ先生は考えもせずに即答した。


「いや、その可能性はないと俺は考えている。
問題なのは、俺もレイカも他の生徒誰1人気がつかなかったことをお前が気づいたことだ」


オーガ先生の言葉に私は首を傾げた。


それに何の問題が?


「‥‥‥お前、3年前に起きた学園の事件のことは知ってるか?」


オーガ先生の言葉に少し悩んだあと、私は頷いた。


3年前にこの学園で起きた事件。


簡単に説明すれば生徒の反逆のようなもの。


この学園でトップクラスの成績をおさめていた優秀な生徒5名が、学園の中に隠されてあるものを奪うということ。


この学園には『全ての魔法を解く鍵』が隠されているんだそう。


なぜそんなものがあるかは不明だけど、それは主に封印魔法解く鍵らしい。


悪魔や邪神がいる黒の世界、暗黒界と呼ばれる扉を開けることもできるんだとか。


暗黒界への扉は歴代最高の魔術師が神と共に封印を施したという。


その鍵を求めた5人の内3人が暗黒界にある国
『サダメイタ』と呼ばれる場所の人間だった。


その5人の目的は暗黒界の扉を開くことにあったらしい。


だがその計画がばれ、その5人は今は牢獄の中に入っている。


「計画を阻止できたのはいいのだが、被害が大きすぎた。その5人の内の1人は理事長と仲がよかったんだ。それもあって理事長は人間不信になってしまった」


なるほど、わかった。


この学園の最高責任者である理事長が人間不信になっている。


つまりは教師や生徒に目を光らせている。
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