バンテスト魔法書の保持者
少しの間があいて、ディライ司教が言った。


「リューラちゃん、寝たのはいつ?」


「‥‥‥2回目テスト終了の、時?」


「1回目と2回目のテストの結果は?」


「‥‥‥?」


「1つ目の社会が98点。2つ目の国語95点です」


私の代わりにリオウが答えてくれた。


よく覚えてたな。


でも、何で私の点数知ってるんだろう?


教えたっけ?


リオウの言葉を聞き、ディライ司教が大きな溜め息をつく。


「今、王族の方では、平民に目をつけているところがあってね。リューラちゃんは合計点数は置いといて、その2つの点数が高かったからだろう。歴史はともかく、理科や国語は本当に理解していないと解けないからね」


「それで可能性を秘めたリューラにも入学証が届いた、というわけか」


「まぁリューラちゃんは実際、頭いいしね」


「はい。俺よりも頭が良いです」


2人の視線が私に向く。


私、別に特別なことはしてないんだけどな。


ただ、本を読みあさってるだけだし。


「さて、本題だ。ハンラルト学園に行く気はあるのかね?」


「微塵もありません」「めんどい。いや」


私とリオウは即答した。


返事の速さに、笑顔が引きつるディライ司教。


「考えもしないのか?」


「なんでいちいち王族や貴族の集まる学園に自ら行かなくてはならないんですか?俺はごめんですよ。あんな金と地位にしがみつくしか脳のない人間と一緒にいるなんて」


リオウがニコリと黒いスマイルをして言った。


リオウ、貴族とか嫌いだもんな。


「リオウ君の言い分はわかった。そして、リューラちゃんはめんどくさいからと」


「リオウと同意見」


「第一、お金はどうするんですか?」


「それがね、全て学園の方で払ってくれるそうなんだよ」


‥‥‥‥随分と親切。
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