Under the ROSE
4
それから2日後。
未だベッドに臥せっている婚約者を、さも心配そうにやってきたリュードは、深刻な面持ちをしていた。
「全ての者を調べましたが、毒を入れた犯人は見つかりません」
皇室にも影響を及ぼすほどの貴族が、皇女暗殺を目論む者を見つけられないなど、ハルミン家の威信に関わることだ。
ましてリュードは玉座を狙うような豪胆な男。
そのようなことは許しがたきことなのだろう。
たった2日で頬がこけ落ち、顔色を悪くしてギリギリと歯を食いしばる姿は、セリスでも憐れだと思うほどだった。
「ご心労をおかけしましたね。申し訳ありません」
「いえ、貴女が謝る事ではありません。私はただ……貴女の身が心配なのです」
切なげに目を細めたリュードは、セリスの細い体を抱き寄せた。
──皇家の姫である私が、だろう?
心の中でそう皮肉りながらも、大人しくリュードに抱かれる。
「一両日中には、必ず見つけ出します」
「ええ……でも、貴方も無理をなさらないで。貴方の身体が心配です」
「そのような心配はご無用。姫は、ご自分の身だけを案じていれば良いのです」
と、頬に唇を寄せ、リュードは去っていった。