Under the ROSE
そのような弟を排してまで、玉座を奪おうという自分。

どうしても欲しいのだ。

自由が。

大空を飛びまわる翼のごとく、この身を籠から出してくれる権力が。


真っ白な薔薇のように穢れなく美しい皇太子が消えた時。

あの妃殿下はどんな顔をするだろうか……。


それを考える時、セリスの顔には妖しい微笑みが浮かんでいた。



「……そういえば、毒見係の方は助かりましたの?」

白い薔薇を愛でながら侍女に訊ねる。

「はい、それが……依然、意識を失ったままです」

「そう……原因は分かったの?」

「現在調査中とのことです。リュード様が検査を急がせてはいましたが……」

「特定するのは難しいのでしょうね……」


リュードでさえ見つけられない犯人。

厳重に管理されたこの宮に入り込むことの出来る人間は限られている。

どうやって警備の目を掻い潜ったのか。

どんな人物ならば、誰にも咎められず入れるというのか。

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