Under the ROSE
数日後、西の宮の庭園では、お茶会の用意がされていた。

良く晴れた空からは柔らかな陽光が降り注ぎ、頬を撫でるそよ風に目を閉じれば青い薔薇の芳香が鼻腔をくすぐる。

幼い頃から慣れ親しんだこの場所は、大事の前にいささか緊張した心を優しく包み込んでくれる。


──大丈夫


首元まで覆い隠す清楚な青のドレスを身に纏ったセリスは、そっと右手を胸に当てた。


──大丈夫、きっとうまくいく


青い薔薇が取り囲む東屋の白いテーブルにつき、2人の侍女がお茶の用意をする音を聞きながらその人を待つ。

長年思い描いていた自由がもうすぐ手に入る。

右手の中指にはめた大きなブルーダイヤの指輪をそっと撫で、口元に笑みを浮かべる。

鳥籠の生活はもう終わり。

今日で終わり。

それを終わらせてくれる人物が……。


「姉上」


──来た。

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