Under the ROSE
「ここの青い薔薇も見事ですが、白い薔薇の方が姉上にはお似合いだと、私は思います。穢れなき白い姿が、貴女のようで……」

正面から真っ直ぐに見つめてくる青の瞳。

何を思ってそのような事を言うのか、見極めようと見つめ返した。

「……ありがとうございます、殿下」

白い薔薇を受け取って、深海のような深い青の奥を覗き込む。

底まで太陽の光が届きそうな、澄んだ色。

穢れなき白い薔薇が似合うのは、アルフォンスの方だと思っていた。

妾腹の卑しい身分のセリスを見ても憐れむようなことはなく、責める事もなく、ただ、笑いかけてくれた純真な義弟。

この王宮に、このような澄んだ目をした者がいたのかと。

そう、思っていた……。


「殿下、セリス様」

レゼッタ姫の声で我に返ると、アルフォンスから目を逸らし白い薔薇を侍女に渡した。

「もう1人、招いているのですが……遅れているようですね」

セリスはアルフォンスにも座るように促してから、レゼッタ姫の向かいに腰掛けた。

「リュードですか」

椅子に腰掛けてからアルフォンスが問う。

「ええ。忙しい方ですから。お許しくださいね」

「姉上が謝る事ではありません」

< 20 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop