Under the ROSE
何か考えがあるのだろうか。油断させてその機会をまた狙っているのかもしれない。

セリスは冷静に彼を見ていた。

「……リュード様は、私を騙しているとおっしゃるのですか」

この宮を出ることを許されなかった憐れで儚げな姉を演じながら、アルフォンスの出方を伺う。

「そうです。だから、彼との婚約は破棄して下さい」

アルフォンスは立ち上がり、セリスの白い頬に手を伸ばした。ビクリ、とセリスの肩が揺れる。

「私は貴女に幸せになってもらいたい……」

頬に触れた手は、思いの他大きくて温かかった。

「姉上、私は……」

どこまでも透き通る青い瞳は、澱みのない心を現していた。

その奥にある本心を探ろうと、ジッとその瞳を見つめ返す。


──何を考えている?


「私は……」


切なげに揺れる瞳。


──何を企んで……


「私が貴女に贈りたい、本当の薔薇は……」


違う。

彼は何も企んでいない。ただ、純粋に──


私を、愛しているのだ。




< 23 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop