Under the ROSE
ああ、彼女は、アルフォンスを愛しているのだ。
他の誰を想っていてもいい。それでも、隣に立っているのは自分でありたい。そう思えるほど、強く、愛しているのだ。
そこまで人を想えるレゼッタ姫を、そしてアルフォンスを、少し羨ましいと思った。
──私には、出来ない……
そこまで強く、人を想うことが……。
「姫、分かって下さい。私はもう、自分に嘘がつけないのです。もう……愚かな行為はしたくないのです」
「愚かな行為……?」
「……申し訳ありませんでした、姉上」
──毒を入れたのは、やはりアルフォンスか……
セリスはそう確信した。
愛しい姉を利用しようとする者から助けるためか。それとも、単に他の男に奪われるのが耐えられなかったのか。
どちらにせよ、セリスを想ってやったことだろう。
──偽りのこの私を、愛するか……
皮肉めいた笑みが漏れる。
ただ1人、本当に愛してくれる者をこの手にかけようとしていたことが、何とも可笑しかった。