Under the ROSE
7
激しい音を立ててテーブルの上の花瓶が転げ落ちた。
バシャ、と水が零れ、白い薔薇が黒い大理石の上に散らばる。その上に倒れるアルフォンス。
それを2人の姫は瞬きもせずに眺めていた。
赤に染まる白を。
青い瞳が閉じられる瞬間を。
息をするのも忘れて眺めていた。
どのくらい時間が経ったのか分からない。
一瞬のような、永遠のような、どちらとも感じられる無の時間が東屋を包んでいた。
仰向けに倒れたアルフォンスの指がピクリと動いたのを見て、セリスは駆け寄った。
「殿下!!」
とっさに抱き起こして膝の上に頭を乗せる。
「殿下!! しっかりしてください、殿下!!」
美しい顔にへばり付く鮮血をドレスの袖で拭い、必死に呼びかける。
「殿下!! ──アルフォンス!!」
その声に反応したのか、瞼が僅かに動いた。
「アルフォンス!!」
しかし瞼が開く事はなかった。代わりに、赤く染まった唇が動く。
「……セリス」
初めて名前で呼ばれ、心臓がドクリと動いた。
バシャ、と水が零れ、白い薔薇が黒い大理石の上に散らばる。その上に倒れるアルフォンス。
それを2人の姫は瞬きもせずに眺めていた。
赤に染まる白を。
青い瞳が閉じられる瞬間を。
息をするのも忘れて眺めていた。
どのくらい時間が経ったのか分からない。
一瞬のような、永遠のような、どちらとも感じられる無の時間が東屋を包んでいた。
仰向けに倒れたアルフォンスの指がピクリと動いたのを見て、セリスは駆け寄った。
「殿下!!」
とっさに抱き起こして膝の上に頭を乗せる。
「殿下!! しっかりしてください、殿下!!」
美しい顔にへばり付く鮮血をドレスの袖で拭い、必死に呼びかける。
「殿下!! ──アルフォンス!!」
その声に反応したのか、瞼が僅かに動いた。
「アルフォンス!!」
しかし瞼が開く事はなかった。代わりに、赤く染まった唇が動く。
「……セリス」
初めて名前で呼ばれ、心臓がドクリと動いた。