Under the ROSE
「私は、貴女と、ともに……いきたかった……」

口元に微笑を浮かべたアルフォンスは、それきり、何も言葉を発しなかった。

膝に乗せた頭が、ずしりと重みを増す。

「……アルフォンス」

セリスの声は震えていた。

あんなにも望んだ光景のはずだった。

右手にはめたブルーダイヤの指輪には、毒が仕込んであった。これで、葬り去るつもりだった。

けれども、何故。

何故、こんなにもこの手は震えるのだろうか。

何故、こんなにもこの唇は震えるのだろうか。

何故、こんなにも……涙が溢れるのだろうか。

喉の奥が締め付けられるのは。心臓が鷲づかみにされたように痛むのは。

何故……。


「ああああっ」


レゼッタ姫の悲鳴に顔を上げる。

愛らしい顔を蒼白にし、結い上げた茶褐色の髪を掻き毟って激しく慟哭していた。

「殿下……殿下……ごめんなさいっ……」

ガタガタと椅子に躓きながら、後ろによろける。
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