Under the ROSE
その様子から見ても、彼女がお茶に毒を入れたのは明らかだった。

何故、アルフォンスを愛しているはずのレゼッタ姫がこのような行為に及んだのか。

セリスは涙を拭うと、毅然とした態度でレゼッタ姫を言及した。

「姫、この毒はどこで手に入れたのです?」

「わ、わたくしは、何も……」

「姫!」

「わたくしは何も知らないわっ……」

「言いなさい!!」

ぴしゃり、と怒鳴りつけられ、レゼッタは少しだけ瞳に力を取り戻す。

「あ……あ……カテリーナ様、に……」


カテリーナ妃殿下。


──義母上……!!


セリスはギュッと拳を握り締め、爪を手のひらに食い込ませた。

「わたくしは! 殿下を愛していたの! 幼少の頃からずっとお慕い申し上げてきました。でも皇位を捨てるとおっしゃって……だから、カテリーナ様が、それならば、永遠に貴女のものにしてしまいなさいと……!」

このように純粋で無垢であった姫に、何ということを吹き込むのか。

その愛が深かったからこそ、妃殿下の策略にまんまと嵌ってしまったのだ。

皇位を捨てたアルフォンスなど、妃殿下には邪魔なだけなのだ、きっと。

そうして、セリスに罪を被せるつもりか。
< 32 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop