sugar

空side




ぱっちり二重に長いまつげ。スカートから出る細い足。小さめの背。そして可愛い笑顔。

沙羅は本当に可愛い。

そして俺は沙羅に恋してたりする。




『ね、空くんはいつから部活始まるの?』

沙羅がにこにこしながら話しかけてくる。


「んー。明日からだと思う。」

甲子園常連校というだけあって、俺の入ってる野球部は、毎日朝から晩まで練習がある。春休みは休みが1日しかなかったし、夏休みはお盆も練習だった。もちろん、朝練も。


『そっかあ。じゃあ明日は一緒に行けないね。』

沙羅はよく表情を変える。今だって急に寂しそうな顔をした。そういうところが可愛くて、俺は沙羅の目が見れなくなる。


「なに?俺と一緒に行きたいの?」

『べ、別に!そういうことじゃないけど。ただ寂しいなーって。』

すぐ照れるところも可愛かったりする。絶対口には出せないけど。




たわいもない話をしていると、いつの間にか駅についた。

「沙羅、桐ヶ滝(キリガタキ)駅まで一緒だったっけ?」

『どうだよー♪あたしはそこから地下鉄!』

桐ヶ滝駅は、県内でたぶん一番大きい駅だ。いろんな路線があるし、デパートやオフィス街などが立ち並んでいる。

定期を出して、改札を通った。



『新しく定期入れ、買ったんだー♪』

ふと隣を見ると、沙羅が定期入れを見て独り言を言っていた。・・・ように見えた。

『え?空くんシカト?なんか言ってょー。』

「・・・今の独り言に聞こえたんだけど。」

沙羅はしょっちゅう独り言を言う。今のように、独り言のように聞こえて、実は話しかけてたりするときも結構ある。俺はいまだに判断が出来ない。


「沙羅、早く定期入れしまわないと。人多いんだから。」

そう言うと沙羅は、そういえば!というような顔をして定期入れをしまった。今さら気づくなんて、沙羅らしい。




< 4 / 10 >

この作品をシェア

pagetop