性悪魔王と妄想モンスター(5/19 63P公開)
床へ倒れた桜花さんは近くの生徒に支えられなんとか起き上がった。すごく怖かったんだと思う、可愛いお顔が涙で濡れており、体はまだ震えている。
むくろ君の片足が、体を支えるために床についていたワタシの手を踏みつけた。
おおう…のおん、普通に痛い。
けど、むくろ君を近くに感じれるのでちょっと嬉しい。
むくろ君のお顔を見上げると今までに無いくらい素晴らしい笑顔をしていた。
胸がキュンとする。あかん!まて!
その笑顔ほかの女子生徒に見せたらダメですって!!!!みんな目を閉じて!!頼む!!!この笑顔はワタシのものだ!!
「…むくろ君、写真を一枚撮っても良いですかね」
ワタシは我慢できずにむくろ君に聞いてしまった。むくろ君の黒髪の間からは艶やかにシルバーのピアスが輝く。
「右手使えなくされたいならどうぞ」
「いえ、すいません。我慢します。」
今むくろ君が踏んでいるのはワタシの右手で、もちろんワタシは一般ピーポーなので普通に右利きだ。右手がなくなっては困る。もし左手が踏まれていたら少し悩んだかもしれない。
ヤバイむくろ君が好きすぎて今すぐ抱きつきたい!!そんなことしたら照れ屋なむくろ君はワタシを殴り倒すだろうけど!!ふふっ!
さっきよりむくろ君の雰囲気が柔らかくなった気がする。それもワタシだけが感じれる程度だろうけど。
ていうかそろそろ右手さんが悲鳴上げてるよ!?むくろ君これ全体重かけてます??かけてますよね??
ワタシは右手を引き抜こうと頑張ってみる。
「あ、あの…むくろ君!」
「ん?あー、あの子に俺とは付き合ってませんってちゃんと言ったら離してあげる」
むくろ君はニッコリそう言った。むくろ君がこんなに笑うなんてとても珍しいんだけど!!!イチコさんニヤケちゃうよ!!!
そうじゃなくて!!!
「…え、むくろ君…ワタシ…」
「何?」
有無を言わせない笑顔に胸キュンが止まらない。惚れたら負けってその通りなんだと思う。いやまじで。うん。