性悪魔王と妄想モンスター(5/19 63P公開)
むくろ君は普段、温厚なお方だ。
「どこがよ」
ビシャと美夜さんのお速い突っ込みが入った。
「ほら!見て!ここ!」
ワタシがそう言って美夜さんに差し出すのは宿泊登山の班メンバーの名簿用紙である。むくろ君はちゃんとワタシと同じ班の所に名前が記入されてある。
「あーそれね、イチコをパシリに使うためでしょ」
「あのね!あのね!むくろ君が自らここに書いたんだって!!」
そう、先ほどの授業は宿泊登山、1泊2日で山登りを1年生のみんなでするんだけどその話し合いがされた。
先生は生徒任せで班メンバーは自由に6人6班で決めれば問題無いらしく、さっそくワタシはむくろ君を班に誘ったのだけど!それが!何も言うことなくワタシと同じ班の所に名前を書いてくれたのだ!!嬉しすぎるのである!!!
「美夜さん!幸せ〜!」
はいはい、と美夜さんは興味無さそうにスマホをいじる。
ちなみに美夜さんも同じ班である、6人も入れば問題なくワタシの大好きなメンバーで固められる!ふふふっ!
「イチコ、後ろ」
「ん?なに?」
言われて後ろを振り向けばそこにはむくろ君がっ!!!!!
「あ、むくろ君〜!!ワタシとお話したいんですね〜?どうぞどうぞ!お隣お座り下さいませ!」
相変わらず冷めた視線でワタシを見るけど、何も言わずにむくろ君はワタシの隣りに座った。素直くんである。
むくろ君にだって心が穏やかな日があるさ!