性悪魔王と妄想モンスター(5/19 63P公開)
ダメだ、失神する勢いでイチコは興奮している。
同じ空間でむくろ君が息をしてらっしゃる!!ワタシは思う存分息を吸い込むとしよう!!むくろ君の吐く二酸化炭素でワタシの肺がいっぱいになるように!!
ワタシは勢いよく頭を上げて、むくろ君の顔を見つめた。
「で、ではむくろ君!ワタシは外へ行きますので!!!その、通らせていただきます!」
むくろ君が立ち塞ぐドアを通らなければワタシは外へ出られない。
「あ、でも!むくろ君がどうして〜もワタシと一緒に過ごしたいと言うならぜひ!ここでいちゃいちゃしましょう!!」
ワタシは両手をグーにして勢いよく鼻息を噴出させた。待ちに望んだむくろ君との部屋で2人っきりのシチュエーション!!何か素晴らしい奇跡が起こるかもしれない!!!
むくろ君はドアを完全に閉めると、そのまま壁にもたれかかった。
え、あ…あの?むくろ君???
立ち尽くすワタシにむくろ君は指示を下さる。
「その大きいバックを開けてみろ」
「え?あ、ははい!!」
むくろ君が言っているのはワタシが一生懸命ここまで運んできたむくろ君の荷物である。
言われた通り、ワタシはバックのチャックを引いた。
中から出て来たのは…
「あれ?ワタシ荷物間違えましたかね?すいません!確に」
「間違えてないから」
はぁ…?いや…でも。
「むくろ君どう見てもこれ大きい水の入ったペットボトル8本とクマさんのぬいぐるみですよ?」
むくろ君が必要としてそうな荷物じゃない気がするんですが。クマさんは可愛いですけど。
「お前が今まで運んでたのはそれだ」
「ああ、なるほど。どうりで重かったわけですね!…って、ちょっとむくろ君!?ワタシ苦労したんですよ!かなり!」
くくく、とむくろ君は喉を鳴らすようにして笑い出す。あらやだ、かっこいい。