期間限定の恋、はじめました。
「女子のアンカーの子だよね?次俺にバトンよろしくね」


そう言って眩しい笑顔を見せる三浦先輩とやら。


その爽やかさえも私の気分を晴らすことはなかった。


「はぁ……」


「どうしたの?緊張してる?」


「え、あ、はい……私、足が本当に遅くって……だからなんでこのリレーに出て、しかも女子のアンカーなのかって……」


「……大丈夫」


いや、だから大丈夫じゃないから言ってんのに。


これだからイケメンはテキトーなこと言っても許されてるからって……


「例えキミが遅くたって抜かれたってオレは1位になるよ」


「え……?」


「だから心配しないで、思い切り走って。じゃあオレ、あっちだから」


「え、あ、あの……」


そう言って三浦先輩はスタートラインへと走って行った。


と、同時になんだろ。まだ走ってもいないのに少し胸がドキドキしてる。


きっと今からリレーが始まるから。


うん、きっとそうに違いない。


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