期間限定の恋、はじめました。
そんな思いでぼーっと達郎を見ていると視線がぶつかった。


やばっ


私は咄嗟に思いっきり視線を逸らす。


どうしよう。さっき視線を逸らしたのすっごく不自然だったよね?


「おい」


「え?あ、達郎……な、なに?」


「なんか、ぎこちねー。だから言いたくなかったんだよ」


そう呟きながら、私の前の席の椅子に腰を下ろす。


その一つ一つの言動をどうしても意識してしまう自分がいた。


「昨日言ったこと覚えてるよな?」


「う、うん……」


「明日、返事もらえる?」


「明日……」


明日は卒業式。


それはつまり私と先輩の恋人期間終了の日を表している。




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