終わりの世界の君と僕
「あら?」
ちょうど、玄関に差し掛かったとき。
月の光に照らされて、誰かの姿が影となって廊下に映し出されていた。
…私以外にも夢遊病患者がいらっしゃったのでしょうか?
同族意識、という言葉とは少し違う気もするけれど、わくわくしながらその影の実体を探す。
「…あいちゃん?なにしてるの?こんな夜中に…」
「あら!うららちゃんじゃないですか!うららちゃんも夢遊病でして?」
そんなわけないじゃない、とツインテールを揺らしながら笑ううららちゃん。
その笑顔は、この非日常的な状況のせいか、いつもよりも大人びて見えた。