大きな小野君。【完結】
「ん。ボタンつけてくれるんでしょ?」
「……」
「歩。悪い。先帰ってて。俺残るわ」
「おー、了解」
「悪いな」
「いいって事よ。詳しくは後で聞かせてもらうから」
「……」
ニヤニヤする友達を、小野君はぎろりと睨みつける。
それに臆することなく笑いながら、彼は手を振っていた。
教室に戻った私と小野君。
「そこ、俺の席だから」
そう言って彼が指差した場所に私は座った。
その隣に座る小野君。
カバンから裁縫道具を取り出して準備をする。
さっきからドキドキしすぎてうるさい心臓が彼に聞こえないか、それだけが心配だった。