大きな小野君。【完結】
好きな子、いたんだ。
何ショック受けてるんだ。
いたっておかしくないのに。
チクチクとボタンに針と糸を通していた私は何も考えられなくなった。
彼女とかではないんだ。
好きな人、か。
グルグルとそのフレーズが頭の中を回っていた。
「高田さんは?」
「えっ?いたっ」
話を振られる事を想定しなかった私は、動揺で針を指に思いっ切り刺してしまった。
ぷつりと血が出る。
「大丈夫かよ!?」
「だ、だいじょ…」
絆創膏、そう考えながらカバンから取り出そうとする私。
だけど、ぐっと小野君がその指を掴むとぱくりと口にくわえた。
「!?」
吃驚しすぎて、声が出ない。
ちゅ、と指についた血を舐めた彼は私の顔を見てハッとした。
きっと、私の顔はあり得ないぐらい真っ赤だろう。