大きな小野君。【完結】
「勝手に触って平気?」
「はい。うさぎのポーチです」
私が頷くと、カバンの中を開けてポーチを取り出す小野君。
その中から絆創膏を一枚取り出して、私の指に貼ってくれた。
「ありがとうございます」
「ん」
「……」
「……」
お礼を言った後、私は作業に戻る。
私と小野君の間に訪れた沈黙。
それを破れずにいた。
突然で驚いたけど、小野君は私のケガを心配して咄嗟に身体が動いたんだろうな。
ボタンもだけど。
……本当に小野君って優しいな。
ちらりと、小野君に視線を移す。
小野君は机に突っ伏しながら、顔を手で覆っていた。
顔を手で覆ったまま、
「高田さん。あの、さ」
小野君が話しかけてくる。
「うん」
首を捻りながら返事をすると、そこに。
「あ、紀花!」
突然、そんな声が教室に響いた。