大きな小野君。【完結】
二人して声がした方を見ると、そこに立ってたのは美月だった。
「美月!」
「ちょっと先生に呼ばれちゃって、ごめんごめん」
「そうなんだ」
「あ、小野に声かけられたんだね」
「うん。もう終わるよ」
小野君は美月を見ると、眉を顰める。
そんな小野君に一切気付いてないのか、美月は私の前に座ると話し始めた。
「よかったね、緊張してたもんね、紀花」
「み、美月」
いきなり何を言い出すの。
確かに緊張してたけど。
恥ずかしさで顔が熱い。
「そういえば、小野って兄弟いなかったっけ」
「……いるけど」
「私もさ、下にいるんだよね」
「……」
「紀花は一人っ子だもんね」
「え、う、うん」
ペラペラと喋る美月に、付いて行けずに私は相槌を打つだけだ。
それにボタンをつけながらだと会話に口を挟む事も出来ない。
お陰ですぐに終わったのだけど。