大きな小野君。【完結】
「終わった」
「え?終わった?じゃあ、帰る?」
「うん」
美月は小野君にずっと話しかけていたけど、小野君はあーとか、うんとかしか言っていない。
本当だ。美月の言ってた感じだ。
さっきの小野君はちゃんと受け答えしてくれてたのにな。
「小野君、これ」
「ああ。ありがと」
私が上着を手渡すと、それを受け取った小野君。
すると、すぐに美月が立ち上がって私に声をかける。
「じゃあ、帰ろうっか。紀花」
「うん」
それに私は頷くと、急いで裁縫道具をしまって立ち上がる。
だけど、それを止めたのは小野君だった。