大きな小野君。【完結】
「あー、悪い。今日高田さんは俺と帰るから」
「え?」
その言葉に驚いたのは美月だけじゃない。私もだ。
小野君と帰るなんて約束していない。
もちろん、美月とも約束はしていなかったんだけど。
美月は私を心配してくれてたのかもしれないし。
「そうなの?紀花」
「え、え」
私に視線を移した美月。
だけど、それに私は答える事が出来ない。
困りながら小野君の顔を見上げる。
だけど、小野君は至って冷静だ。
「コレ、のお礼したいから。それじゃ、行くぞ」
「え。あ、うん。ごめんね、美月。ありがとう」
「……」
すぐに小野君の後を付いて行ったけど、最後まで美月からの返事はなかった。