大きな小野君。【完結】
……美月の事怒らせちゃったかな。
小野君の少し後ろを歩きながら、私は美月の事を考えていた。
先生に呼ばれたって言ってたもんね。
……私の事、気にしてくれてたかもしれないのに。
あれだけ頑張れって応援してくれてたんだもん。
やっぱり美月にちゃんと謝ってこよう。
そう決心すると、私は目の前を歩く小野君に声をかけた。
「お、小野君!」
ぴたりと足が止まり、ゆっくりと彼が振り向く。
さっきまでの険しい顔じゃない。
優しい顔で、思わずドキっとした。
「……えっと、あの、美月にちゃんと謝ってくるんで待っててもらえないですか」
「え」
「小野君に話しかけようと思ったのは美月がいたからなんで」
「……やめた方がいいと思うけど」
「え?」
小野君は一度、髪の毛を掻きあげるとぼそりと呟く。
何でそんな事を言うのかがわからない。
今日、こうして小野君といられるのは美月のお陰なのに。