大きな小野君。【完結】
「小野の事、ずっといいなって想ってたのに。
え?言うわけないじゃん。紀花に言ったって使えないし」
……紀、花、って言った。
頭が真っ白だった。
今のは誰が喋ったのだろう。
本当に美月だったのか。
だけど、声は間違いなく大好きな美月のモノで。
その美月は紀花と、確実に言った。
手がスッと冷えていって、微かに震えた。
「まじ小野とうまくいくかもとか勘違いしてるなら、下校中に潰してやろうと思ったんだよね。
なのに、小野と帰るとかまじでムカつく。
カラオケだよね?行く。ストレス発散させないと無理だ」
そう言うと、声が段々と近付いてきた。
え?こっち来る?
逃げないと。ここじゃ見つかる。
動揺しっぱなしの私。
辺りを見渡すけど、正常に頭が働いてくれない。
どうしようかと思った時に、急にぐいっと誰かに腕を引っ張られた。
連れ込まれたのは隣の教室だ。
しゃがみ込み、私の声が出ない様に口元を塞がれた。